あなたは問屋街というとどこを思い浮かべるでしょうか。全国各地にさまざまな問屋街がありますが、東京では浅草のかっぱ橋道具街や花川戸はきもの問屋街が有名です。ハンドメイドが好きな方のあいだでは日暮里の繊維街や浅草橋周辺のアクセサリー問屋街もよく知られています。
日本最大の現金問屋街
衣類やバッグなどのアパレル商品の卸が軒を連ねるのが、馬喰町問屋街・横山町問屋街です。日本最大の現金問屋街と言われており、大阪の船場と並ぶ繊維品現金問屋の集積地となっています。
その歴史は150年以上と長く、江戸時代は小間物、明治・大正時代は和装小物、戦後から現在にかけてはアウター・インナーなどアパレル全般と、時代によって扱う商品を変えながら発展を続けています。日本全国各地から小売店のバイヤーが足を運び、近年は中国から買付に来る方も増えているようです。
シャツや靴下はもちろん、バッグ・帽子・タオルなどさまざまな専門店が軒を連ねています。晴れ着を扱うお店やウィッグ・かつらのお店など、こんなお店もあるのだなと眺めて歩くだけでも楽しい場所です。
アパレルという身近なアイテムを扱うお店が多く並ぶ場所でありながら、馬喰町問屋街・横山町問屋街に実際に足を運んで品物を買ったことがあるという方は意外と多くないかもしれません。その理由は、このエリアの問屋の大半がプロ向けで、素人さんお断りとなっているためです。浅草観光の一環で一般客が訪れることも多いかっぱ橋道具街とは対照的ですね。
通常、問屋街では「卸」としての性質上、一定以上のロット数での購入が基本となっていて、小売店のような1点〜の購入は想定されていません。他にも、購入にあたって取引先としての登録が必要である等、独特のルールがあるところが多いです。また、週末は休みのお店が多いというのも一般客にとって行きにくい要因のひとつです。
そんななかにも「小売いたします」と掲げているお店もあります。もしそういうお店を見かけたら、ぜひ覗いてみてください。普通の小売店ではありえないようなお得な価格で掘り出し物が見つかるかもしれません。なかには比較的空いている午前中なら一般客OKというお店もあるようなので、早めの時間に行ってみるのもひとつの方法です。
年二回の「大江戸問屋祭り」
毎年7月と12月の第1日曜日には、大江戸問屋祭りが開催されます。一般客に向けて卸専用商品が特別価格で販売されるイベントで、たくさんの人が訪れます。興味がありつつもこれまで馬喰町・横山町になかなか足を運ぶ機会がなかった方にとっては、絶好のチャンスではないでしょうか。市価の半額〜7割引・8割引というような非常にお得な価格設定のものが多く、訪れた方の満足度は非常に高いようです。レディース系のアパレル商品が多いですが、スーツなどメンズ向けのアイテムを買いに毎年訪れる男性もいるようです。
普段はなかなか手が出ない毛皮やレザーなどの高額商品が大幅割引になっているのを狙うのも良いですし、流行に左右されない肌着や靴下などをまとめ買いするのもおすすめです。傘やタオルなどの雑貨類も人気です。
年々混雑度合いが高まっているようなので、お目当ての商品がある方は事前にお店の場所を確認してから訪れるほうがよいかもしれません。もちろん、ふらりと行って覗いてみるだけでも大いに楽しめます。夏はサンバ、冬は地元中学校の吹奏楽部の演奏がお祭り気分を盛り上げてくれます。過去にはゴスペルやジャズバンドの演奏が行われた年もあったようなので、次回はどんなイベントがあるか楽しみですね。一般の人にとってはあまり知られていない卸の街を訪れる絶好の機会、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
2022年12月大江戸問屋祭 参加店舗
馬喰町・横山町問屋街のアフターコロナと状況は
馬喰町・横山町問屋街は、江戸時代から続く日本有数のアパレル卸の街であり、多くの問屋や工場が軒を連ねています。ここでは、ファッションアイテム、素材、小物などを卸売りするビジネスが営まれています。
2020年以降、新型コロナウイルスの影響により、アパレル業界全体が打撃を受け、問屋街も例外ではありませんでした。多くの小売店が営業時間短縮や休業を余儀なくされ、問屋からの発注量も減少しました。
しかし、2021年以降、新型コロナウイルスワクチンの普及や経済の回復により、アパレル業界も徐々に回復傾向にあります。馬喰町・横山町問屋街も、再び賑わいを取り戻しています。問屋やメーカーが生産した商品は、小売店やネットショップを通じて販売され、また、アパレルブランドが直接問屋街を訪れることも多くなっています。
ただし、コロナ禍での影響はまだ完全には回復しておらず、新型コロナウイルスの影響で港湾業務が滞ったため、原材料や製品の輸送に支障をきたす場合があります。また、インバウンド観光客の減少により、観光客による買い物客が減少しているため、需要が落ちている場合もあります。
加えて、最近では、ネットショッピングやECサイトの利用が一般的になり、問屋街もオンラインでの販売に注力する傾向が見られます。問屋街のショップは、商品や価格、デザインなどを公開して、オンラインでの販売を行っています。また、オンラインショップを通じて、海外への販路も拡大しています。
総じて言えるのは、馬喰町・横山町問屋街は、コロナ後も存続し、アパレル卸の中心地としての役割を果たし続けているということです。
アパレル卸まとめ
近年ではドロップシッピングやアフィリエイト、YouTubeなどで個人の副業やお小遣い稼ぎで自分の好きなアパレルを卸業者から購入して、、なんて方も増えてきているようですが、やはり基本的なアパレル卸業者であれば、個人客への販売は行っていないのが通例です。ただ時代の流れと共に個人の発信力が強くなりSNSなどを使ってのマーケティングは欠かせないもになりつつもあります。
また非常に浮き沈みがある業界ですので、1つのルートに頼っての販売は業績にも直結する問題としてアパレル卸業界でも多岐に渡る販売ルートの確保や将来的な目線でどのようにアパレル卸を確立していくかも変わってきているようです。販売量があると必然的にトレンドなどもキャッチするのが早くなり情報量も増えます。そのような問屋さんやメーカーさんとどのようにお付き合いしていくかも仕入れのポイントとなってくるものだと思います。
新規のアパレル卸を探しているが中々良い所が見つからない、小ロットでもないが大量ロットでもない・・・そんな店舗様は一度相談すると良いかもしれません。 アパレル卸・製造で相談する