国内外を問わず人気継続中のラグジュアリーストリートは、ストリートカジュアルのなかでもここ数年特に注目度の高いスタイルです。背中や胸元にプリントされた文字(レター)のロゴやメッセージが特徴のひとつで、レタードファッションと呼ばれることもあります。
ラグジュアリーストリートとは?
ラグジュアリーストリート(ラグスト)は、ハイブランドとストリートの融合によって生まれたファッションです。
長い伝統と歴史に根ざして高品質な製品を生み出すハイブランドと、音楽やカルチャー・社会情勢など時代性を反映し街中の若者たちから自然発生的に生まれるストリートファッションは、かつては対照的な存在と考えられていました。
2000年代以降、ハイブランドのデザイナーとストリートで人気のアーティストの交流、ストリート出身のデザイナーのラグジュアリーブランドへの抜擢、高級ブランドとストリートブランドのコラボレーションなど、ハイファッションとストリートファッションの融合が進むなかからラグジュアリーストリートと呼ばれるスタイルが確立されました。
ひとくちにラグジュアリーストリートといってもブランドやシーズンごとに傾向は異なりますが、黒をベースカラーとした「モノトーン」、文字をプリントした「レタリング」、ジャストサイズよりも大きめでゆったりと着こなす「オーバーサイズ」といったあたりが代表的なキーワードとなります。
有名人のラグストスタイルに注目
ラグジュアリーストリートを語る上で必ず名前が上がる有名人といえばカニエ・ウェストです。最近はアメリカ大統領選挙へ出馬を表明したことでも話題になりました。音楽プロデューサー・ラッパーとして活躍していた彼が2008年頃に頻繁にパリコレを訪れるようになり、自身のスタイリングにラグジュアリーブランドのアイテムをミックスするようになったことはラグスト誕生のひとつの契機と考えられます。
また、彼のクリエイティブディレクターだったヴァージル・アブローによって2014年に誕生したラグストブランドは大きな文字や太い線が交差するデザインなど特徴的なデザインで知られ、非常に多くのアーティストやセレブの支持を集めています。
ポップシンガーのジャスティン・ビーバーもラグジュアリーストリートブランドの愛用者です。2010年代音楽シーンのキーマンのひとりとされる人物で、ヒップホップ・ラップ系アーティストとのさかんな交流でも知られています。また、何といっても若い世代への影響力の強さでは圧倒的なものがあります。ファッション的にはパーカーを着こなすことが多い彼ですが、ラグスト系ブランドのものもお気に入りのようで、カニエ・ウェストの元マネージャーであるドン・Cが手掛けるブランドのものをおしゃれに着こなす姿が注目されました。
日本では、三代目J Soul Brothersの登坂広臣や岩田剛典がラグストブームの火付け役となったと言われています。ちょうど日本でInstagramが浸透し始めた時期でもあり、三代目JSBやEXILEの面々がラグストファッションを着こなすショットを次々アップしたことで注目度が急激にアップしました。
有名人がラグストを着こなすことで、その人気は一般の人々にも波及します。高価なラグジュアリーストリートブランドには手が届かなくても、「モノトーン」や「レタード」などラグスト的なエッセンスを取り入れたファッションを楽しむ若者の姿は今や街のどこにでも見られます。また、学生のような普通のストリートファッションに飽き足らないニューリッチ層の社会人男性の間で高級ストリートブランドが注目される流れもあり、ラグストの人気はまだまだ継続しそうです。