メンズカジュアルの基本アイテムとして定着しつつあるオープンカラーシャツ。リラックス感・抜け感を手軽に演出できることに加え、着心地が快適なことからも重宝されています。一躍人気のファッションアイテムとなったオープンカラーシャツですが、デザインのルーツとして考えられるシャツの種類はさまざまなものがあります。
オープンカラーの定番アロハシャツとトロピカルシャツ
オープンカラーシャツの代表例としてよく挙げられるのがアロハシャツです。テロテロとした化繊素材や首元を締め付けないオープンカラー、通気性のよいゆったりとしたシルエットなど南国の気候を快適に過ごす工夫が詰まっています。
ヤシの木やパイナップル・ハイビスカスなど南国の風物を描いた柄も特徴的ですが、一説によると、日本からの移民が和服を仕立て直してシャツにしたため、ハワイで普及し始めた当初は和柄が中心だったのだとか。それを知ったうえで、今あえて渋い和風模様のアロハシャツを着てみるのもおしゃれかもしれません。実際に、浴衣の生地を使用したアロハシャツなども市販されています。
オープンカラーシャツのひとつに、トロピカルシャツと呼ばれるものがあります。名前の印象はアロハシャツと似ていますが、実物はかなり異なるテイストです。トロピカルシャツとは米軍のユニフォームとして熱帯地域での活動の際着用されるシャツを指します。左右の胸に大きなポケットが付いているなど実用性も高く、軍服らしくビシッとした骨太な雰囲気です。
メンズカジュアルのお店に並んでいるオープンカラーシャツのなかにも、このトロピカルシャツを下敷きにデザインされたものが数多くあります。こういったものは、ゆるい雰囲気が魅力のアロハシャツとは対照的に、男らしさやハードさを感じさせるコーディネートで着こなすとおしゃれです。
動きやすいボウリングシャツとキューバシャツ
オープンカラーシャツのなかには、背中にアクションプリーツと呼ばれるひだが入っているものがあります。このプリーツが入っていることによって、腕周りを動かしたときに引っ張られる感じがなく、ストレッチ性のない生地でも動きやすいという利点があります。
その典型といえるのが、1950年代のアメリカで誕生したボウリングシャツです。ボウリングといえば、腕を大きく使ってボール投げる動作が欠かせません。そのため、腕の可動域を確保するためのアクションプリーツを入れたシャツが重宝されました。
ボウリングシャツのもうひとつの特徴が、刺繍やワッペンでチーム名などを大きくあしらったデザインです。ボウリングのピンを描いたものもあれば、アメリカンビンテージ風の文字ロゴなど、独特のレトロな雰囲気を感じさせるものが多くあります。スポーティーで若々しく、ちょっと茶目っ気を感じさせるデザインは、若い人だけでなく大人の男性に着ていただくのも素敵です。
アメリカに近いカリブ海の島国、キューバでも、伝統的にオープンカラーシャツが着られています。フロントに計4つ大きなポケットが付いており、収穫した農作物をたくさん入れるために生まれたデザインだとされています。ポケット以外にも、前身頃に肩から裾にかけて刺繍やプリーツなどで縦のラインが入っているのもキューバシャツの特徴です。
刺繍のモチーフによっては少し民族っぽいテイストもあり、ありきたりではないメンズカジュアルを楽しみたいという方にはぜひおすすめです。
ここ数年オープンカラーシャツのバリエーションも非常に豊富になってきました。このデザインのルーツは?と考えながら選んでみると、また違った楽しみが広がりそうです。