2020年7月1日から始まったレジ袋有料化は、人々の生活にさまざまな影響を与えています。いつものようにコンビニ等で買い物をして、レジ袋が有料になっていることに気づいて戸惑った方はおそらく多いのではないでしょうか。
有料化の基準とショップの対応例
レジ袋有料化は、プラスチック製買物袋を扱う小売業を営む全ての事業者が対象となっています。もちろんアパレル業界も例外ではなく、ショップはそれぞれ対応を迫られています。
有料化の対象となるのは持ち手の付いたプラスチック製買い物袋で、紙袋は対象外となっています。また、プラ製ショッパーでも、50マイクロメートル以上の厚手の袋やバイオマス成分を25%以上配合した袋、海洋生分解性プラスチック100%の袋は有料化対象外です。そのため、従来のショッパーから紙袋へ切り替えたり、環境負荷の低いタイプのショッパーに切り替えて無料提供を続けるショップも一定数あります。
袋を有料化したショップでは、袋を辞退した場合にポイントを付与するなどさまざまな工夫が行われています。キャンペーンとしてショップのロゴ入りエコバッグを配布したところも見られました。これまで無料だったものが有料になることはどうしても消費者に抵抗感・負担感が生じてしまうため、どうケアしていくかが大きな課題です。
また、袋詰めスペースも課題のひとつです。これまではアパレルショップでは店員が袋詰めを行うのが一般的でしたが、購入者が持参したバッグに購入品を詰めるためのスペースを新たに設けたところも見られます。
レジ袋有料化の影響で急伸するアイテム
レジ袋有料化の影響を受けて、アパレル卸などで急伸するアイテムが出てきています。
そのひとつがエコバックです。マイバッグとも呼ばれ、繰り返し使えるのが特徴の買い物袋です。ある有名アパレル卸サイトでは、早くも注目アイテムとして大きくピックアップされています。レジ袋有料化に伴いエコバッグを買わなければと考えている消費者は多いので、今後しばらく注目度が高まりそうなアイテムです。
もうひとつの注目株は風呂敷です。昔ながらの道具ですが、時代の流れを受けて現代的でおしゃれな色柄のものや防水性を高め災害時にも活用できるものなどバラエティ豊かになってきています。洗いやすさや畳みやすさなどで普通のエコバッグよりも便利な面もあり、これから徐々に人気が出てくる可能性があります。
消費者のなかには、アパレル店のショッピング袋にはスーパーやコンビニのレジ袋にはない特別感を感じている方が多くいます。おしゃれなショップで気に入った服を買い、お店のロゴ入りのきれいな袋に入れて持ち帰るワクワク感は、やはり普段の食料品・日用品の買い物とは別物です。
そのため「服を買うときに食品用のエコバッグに入れるのは抵抗がある」「コートなどを買うときのために大型のエコバッグが欲しい」といった声も出てきており、これまでとは異なるエコバッグのニーズがが感じられます。アパレル卸で商品を仕入れる際は、そういった新たなニーズを加味してエコバッグ等の仕入れを検討してみても良いかもしれません。
また、有料化がどの程度消費者の購買行動に影響を与えるかも気になるところです。「ふらりと入ったショップで気に入る服があったが、マイバッグを持っていなかったので買うのを諦めた」とか「マイバッグに商品を詰めるときにレジ前でもたつくのが心配。ネット通販の利用が増えそう」といった声も聞かれ、思った以上に大きな影響となってくる可能性もあります。
レジ袋の有料化は、資源や海洋ゴミなど地球環境の面を考慮して実施された取り組みですが、今後アパレル業界にどのような影響がでてくるか注視していきたいテーマのひとつです。